高次脳機能障害者からのリアルな質問
私たちNPO法人Reジョブ大阪の当事者会で合流することが多い「東大阪え〜わの会」は、ご自身も高次脳機能障害者である松永さんが、2011年に立ち上げた当事者会です。
毎年、講演会を主催しており、100名以上の方々が参加しています。
この日の、当事者と橋本先生のトークセッションについては前回のブログをご覧ください
ブラック企業からは逃げましょう
質疑応答で、いわゆるブラック企業に勤めていた当事者からの相談がありました。10年以上、診断がついておらず、何がなんだかわからないま過ごしていたとのこと。業務環境は悪かったのですが、何をどうしたらいいかわからなかったそうです。
橋本先生曰く「高次脳機能障害の方は、非常に真面目なんですが、問題解決能力が乏しいところにつけ込まれ、ブラック企業に巻き込まれやすい。雇用者に正常と障害の区別がないから、突然、解雇される可能性もあります。まずは身を守ることが大事。そういう意味でも、手帳精神障害者保健福祉手帳をもっていることは頼りになります」とのこと。
若い人からは「すぐに仕事に復帰したい」という相談も出ました。
橋本先生は「この障害は、自分のことわかるまでに時間がかかります。でもそれは、私たちもそうですよ、なかなか自分のことはわかりません。あせらず、失敗を積み重ねないようにすることが大事。今は無理矢理あせって就職活動したりするよりは、治療に専念しましょう。自分のことがわかるまで2 、3年かかるのだから」と仰っていました。
でも、この「2,3年」の間、彼らが通う場がないのが問題ですよね。就労継続支援B型事務所りぼーん天王寺やあさつゆ(asatsuyu0107@gmail.com)のような高次脳機能障害に詳しいスタッフがいる就労支援機関などが増えることを願います。
家族のケア
家族が発症して間もないご家庭からは、「病院から、何度も何度も、わけがわからない電話をかけてくる」と困惑の声が。
先生は「今はまだ急性期なので、混乱してる時期でしょう。病院が現実社会なので、そこに適応させることが大事です。あなたが一つ一つに驚いて動揺せずに、まずは入院中という現実を受け止めて対応をすること」とのこと。
これは、医療関係者にも伝えたい内容ですね。
「あなたはこういう病気です。怪我をしていて、今は入院中です」と、何度も何度も伝えるのは大変です。すぐに忘れますし、そもそも聞いてもらえませんし、中には怒り出す人もいます。でも、これも治療過程で重要なケアです。
「10年前に親が高次脳機能障害になった。そろそろ認知症も心配です。なんとか参加できる場が欲しい」との声に、先生は
「親御さんのことを気にかけていらっしゃいますが、あなたの心の中に、この10年という介護生活の苦労が、澱のように溜まっているはずです。まずは、あなたのために、親御さんには、ショートステイやデイサービスの利用をしてもらいなさい」と。
このアドバイス、家族の大変さと向き合ってきた先生ならではの言葉だと思います。障害者のご家族は、自分のことを二の次にしてしまいがちで、気が付いていないけれども相当なストレスを抱えているはずです。澱のように……この表現にうなってしまった私です。
東大阪え〜わの会について
当事者会の参加者を募集中とのことです。高次脳機能障害者同士で話しあい、自分のことや他人のことを知り、仲間をつくることを目的としています。
お問い合わせは cphuh710@hct.zaq.ne.jp まで。
NPO法人Reジョブ大阪の当事者会「まるっと会」について
私たちNPO法人Reジョブ大阪も当事者会を開いています。毎月第3日曜日開催で、場所は東大阪市菱屋西公民分館 (永和分室)です。詳細・お申し込みはこちら
またはメール(npo.rejobosaka@gmail.com)まで。
西村紀子のブログでは、トークセッションについての考察を書いてあります。こちらも是非ご覧ください。