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3分だけ、この人たちの声を聞いて

まいど!リジョブ大阪です!
11月10日(日)大東市アクロスで「 見えない障害~高次脳機能障害と共に生きる 」をテーマに、医師。言語聴覚士、当事者、家族による講演を開催しました。来場者52名、スタッフとボランティアが13名、総動員数65名のイベントでした。

勝谷先生の講演

まるっと文化祭でパーカッションを担当していた男性、この方が、勝谷先生!

西宮協立リハビリテーション病院に勤務されている勝谷先生から、脳機能について部位別にわかりやすく説明がありました。そして「リハビリテーション」とは機能訓練ではなく、その人の生活をどのように組み立てるか、ICFの概念について。さらに、高齢者を主たる対象にした地域包括ケアシステム、子供・障がい者・高齢者そしてその家族を含めた地域リハビリテーションから、先生が目指すどの人もその人らしく生きていける共生社会についてお話され、最後に患者さんとの交流を紹介されました。特に、先日開催された「まるっと文化祭」で一緒にステージで演奏した「白井伊三雄」さんの主治医となった当時を振り返り、涙する場面がありました。 現在、高次脳機能障害の方を外来でフォローしている病院は少なく、またリハビリテーション医が日本では少ないなどから、障がい者手帳の申請に来る人も多いそうで、書類業務にかなりの時間を割いているとの話もありました。

勝谷先生の「リハビリテーション」の考えかたが、垣間見える講演会。これはもう、臨床の医師にしか言えないことではないでしょうか。だからといって、じゃあ、一般の人は「へーそうなんだー」では済まされません。高次脳機能障害や失語症は、明日、誰がなっても不思議ではない、中途障害。事故や病気、ほんの小さなアクシデントでなってしまう可能性のある障害なのです。

当事者の声に耳を傾けて

この日は、当事者や家族が多かったので、予定を変更し、質疑応答の時間を長めにとりました。どんな質問がされたか、紹介します。

病院で障害について説明してくれていたら、自分も家族もこんなに苦しまなくてよかったのに

精神保健福祉手帳しかないのはなぜ?

感情を抑制するにはどうしたらいいのか?

介護を長年経験した。家族に対するケアが全くないのはおかしい

障害を認める、受け入れるってなに?

対人関係が壊れてしまった

これらの質問は、いつかは、あなたがする質問なのかもしれないのです。私は、そういうせりふで、脅すつもりはありません。そんな質問が出ないような、中途で障害を負っても、誰でも安心して生きていける、そんな、社会をみんなで作っていきませんか?という提案をします。

当日は、会場からのこのような声に対し、登壇者4名と司会の西村が一つずつ答えていきました。

他登壇者の言葉

左から勝谷先生、松永さん、白井さんご夫婦

一般社団法人あいず 白井京子さん

ある日突然、障がい者の家族になった、その途端、今までの社会から切り離されてしまった、その気持ちはだれにもわかってくれない。夫婦二人で自宅に引きこもっていた「孤独病」であった時代を振り返り、今は、「夫は生きているだけで強運の持ち主なのだ」と思えるようになった軌跡。同じような境遇にいる当事者、家族に対して何かできないか、そして医療の人には私たちの気持ちを理解してほしいと、法人設立への思いについても語って下さいました。

え~わの会 松永裕介さん

東大阪市で「当事者による当事者のための当事者会」を月1回開催、ついに100回を超えました。そんな松永さんは、20代で発症、退院後に「なんでこんなことができない?」と混乱、その後、情報を求めて紆余曲折した体験を話されました。今、自分にしかできないこと、当事者や家族の話を聞く仕事をしていきたいと抱負を語っていました。

NPO法人エスペランサ 岡崎さん

10代のころ、交通事故にあい、「99%生きることはむつかしい」といわれ半年ちかく意識がもどらなかったそうです。彼はいま養護施設に住む子供たちに笑顔を届けたいという活動をしています。ずっと自分は障害者ではないと否定して生きてきた、感情を抑えることができず「やってはいけない、言ってはいけない」とわかっているに止められない、トラブルを引き起こしてしまう辛さ、それを認めて進もうと決意した経緯をパワフルに語っていました。4ページにわたる原稿を持参していましたが、1ページで時間となってしまいました。あまりに貴重な資料なので、ネットで公開していきます。

「僕が障害を認めるまで」第1話

「僕が障害を認めるまで」第2話

NPO法人Reジョブ大阪 代表 西村紀子

病院でなぜ診断の見落としが防げないのかを説明、少しでも多くの当事者が救われるためには、一般の人にこの障害について知ってもらうことであることをお話しました。

終了後、相談にのってほしいという家族の方が列をなしていました。ほとんどの方が、障害を負って数年経過して、自宅で介護している人です。中にはお子さんが当事者である人もいました。こうしたことを相談できる場所はとても大切であると思います。

参加者の感想

・病院でしることがなかった現実をまざまざと知り、心が苦しくなった。
・貴重な声を聴くことができた。今後に生かしていきたい
・家族が入院して初めてしった。病院で説明を受けても実感としてわからなかったけど、他の当事者、ご家族の話が聞けてよかった。
・自分の患者さんについて悩んでいる。今日の話を参考にしたい。
・どうしていいかわからず、どこへ相談にも行けていない。来てよかったです。

次は、上田敏先生!

勝谷先生に続き、NPO法人Reジョブ大阪は、なんとあの上田敏(さとし)先生を大阪にお招きします。リハビリテーションに携わるすべての医療者が尊敬する、上田先生。日本に「リハビリテーション」という概念を輸入した先生です。
詳細はWikipedia(上田敏)

12月8日です。皆様是非いらしてください。この講演会の詳細、申し込みはこちら