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見逃しの多い高次脳機能障害

臨床現場における疑問をリサーチクエッション、RQといいます。私のここ数年のRQの一つは、これです。医療現場における高次脳機能障害の診断見逃しはなぜ起こり、どうしたら削減できるのか?

私が勤務する病院でも、これまでの生活歴を聴取していると

「え??今まで何も言われませんでした?」

と驚くような人が、しかも、そこそこの頻度で入院してきます。もし、ご興味あれば、相談サイトで「高次脳機能障害」と検索してみてください。どれだけ多くの人が、診断を受けずに社会に戻り、そして困っているかがわかります。

・高次脳機能障害があるかもと言われたけれど、翌日取り下げられた。どういうことか?

・脳出血で倒れてから、父親の金銭管理がおかしい。高次脳機能障害の診断はついていない。

・子どもが事故にあった。搬送された病院では、後遺症なし、完治と診断されたのだが、あきらかに性格が変化し、勉強もできなくなった。

このような内容が日々書き込まれています。ご本人がどうしたらよいか?と書き込む場合もあります。健常者でさえ、こういうことはどこに相談したら良いか分からないというのに、ましてや脳を損傷した方は本当に大変だと思います。

先日、厚労省の研究事業について、ヒアリングを受けました。私の研究したいことがらについて、お話ししたところ、この日、8名ほどいた担当の方は、「これは非常に重要な問題ですね」と仰いました。伝えたいことは伝え切ったとは思いますが、そもそもこの研究テーマで応募する分野がなかったことが、この障害がいかに「見えない」ものであるかを物語っていると思います。

それでも少し重なったところで応募したのですが、採択されないかもしれません。あらかじめ問い合わせしておけばよかったのかと、あとで気がつきました。応募まで、それこそ大変なことの山積み。そもそも研究機関として登録するまでが大変! 何度も挫折しそうになりましたが、当事者との会話を思いだし、彼らに励まされたような気持ちで臨みました。

結果はどうであれ、この研究はやり遂げるつもりです。

みなさんも、このように、脳損傷のあと「何かおかしい」と困っている方が身近にいらっしゃいませんか? もしいらっしゃいましたら、ネットで検索する前に、是非、NPO法人Reジョブ大阪に相談してみてください。

NPO法人Reジョブ大阪
西村紀子